「あぶない所へ来ると、馬から降りて歩く。これが秘伝である。」 「最初に軽い者を遣わして埒があかないからといって、また重い者を遣わせば、初めに行った者は面目を失い、討ち死にをするほかはない。」 「われ独り出頭して、一人して事を埒あけたがるように致す、これ大なる病なり。」 「およそ人の上に立って下のいさめを聞かざる者の、国を失い、家を破らざるは、古今とも、これなし。」 「怒ったときには、百雷の落ちるように怒れ。」 「真らしき嘘はつくとも、嘘らしき真を語るべからず。」 「大将というものはな、家臣から敬われているようで、たえず落ち度を探されており、恐れられているようで侮られ、親しまれているようで疎んじられ、好かれているようで憎まれているものよ。」 「多くを与えねば働かぬ家臣は役に立たぬ。また、人間は豊かになりすぎると、結束が弱まり、我説を押し通す者が増えてくる。」 「人間は、健康でありすぎたり、得意すぎたりする時にも警戒を要するのだが、疲れたおりの消極性もまた厳に戒めなければならない。」 「不自由を、常と思えば、不足なし。心に望み起こらば、困窮したるときを思い出すべし。」 「滅びる原因は、自らの内にある。」 「願いが正しければ、時至れば必ず成就する。」 「道理において勝たせたいと思う方に勝たすがよし。」 「大事を成し遂げようとするには、本筋以外のことはすべて荒立てず、なるべく穏便にすますようにせよ。」 「愚かなことを言う者があっても、最後まで聴いてやらねばならない。でなければ、聴くに値することを言う者までもが、発言をしなくなる。」 「われ志を得ざるとき、忍耐この二字を守れり。われ志を得んとするとき、大胆不敵この四字を守れり。われ志を得てのち、油断大敵この四字を守れり。」 「敵だというのも自制心を忘れた怒りである。」 「最も多くの人間を喜ばせたものが、最も大きく栄える。」 「人を知らんと欲せば、我が心の正直を基として、人の心底を能く察すべし。言と形とに迷ふべからず。」 「我がために悪しきことは、ひとのためにも悪しきぞ。」 「家臣を率いる要点は惚れられることよ。これを別の言葉で心服とも言うが、大将は家臣から心服されねばならないのだ。」 「家臣を扱うには禄で縛りつけてはならず、機嫌を取ってもならず、遠ざけてはならず、恐れさせてはならず、油...