特攻隊員の遺書 広田幸宣少尉【母親へ】

なつかしい母上様、かあちゃんよ!!

拝啓 たびたびのおたよりうれしく拝見致しました。
この前の便箋七枚の手紙を見ては涙がとめどなくほゝを伝はりました。何回も何回もくりかへして読みました。金送りましたが、こんなによろこんで頂けるとは思ひませんでした。神様などへそなへなくともよろしいですから、すぐ用立てて下さい。少し金持らしくやつて下さい。財布が底抜けにならぬ様一ヵ月に一回は必ず補給します。・・・・・・
 私は貯金はこちらでたくさんやつてゐますから、送つた金はぢゃんぢゃん使つて下さい。・・・みかん着いたさうで何よりです。出来たらもつと送りませう。玉ちやんにも小遣ひ出来るだけ送りますからお嫁に行く日の貯金に、
 お母さんの書いてよこされたことも近い中にあるかも知れません。こんど金が自由になつたらゆつくりと面会にこられないですか。やがては泊りもありますし、二十四時間のやすみもありますから、ゆつくり話も出来ますし、共に寝ることも出来るわけです。汽車は酔はなければよいのだがなあ。トランク要るなら送つてもよいです。ではお体大切に、
ベッドの中で
なつかしい母上様、かあちゃんよ!!
広田少尉は予科練同期3名を含む8名で出撃された。アメリカ側の資料によっても空母フランクリン、軽空母ベロー・ウッドの2隻に大損害を与えている。このような大戦果をあげた勇敢な隊だが、隊員も生身の人間で母を慕う若者の手紙には胸が熱くなる。

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