特攻隊員の遺書 古谷眞二少佐【両親へ】
後顧なく千戈を執らんの覚悟なり
御両親はもとより小生が大なる武勇を為すより身体を毀傷せずして無事帰還の誉を担はんこと、朝な夕なに神仏に懇願すべくは之親子の情にして当然也。然し時局は総てを超越せる如く重大にして徒に一命を計らん事を望むを許されざる現状に在り。
大君に対し奉り忠義の誠を至さんことこそ、正にそれ孝なりと決し、すべて一身上の事を忘れ、後顧なく千戈を執らんの覚悟なり
特攻隊員の中には大変な才能を持った方もおられた。作家三島由紀夫が自殺の一ヶ月前に江田島の海上自衛隊第一術科学校教育参考館でその遺書を読み、「すごい名文だ。命がかかっているのだからかなわない。俺は命をかけて書いていない」と言って、声をあげて泣き出したそうである。
この遺書は古谷中尉が繰り上げ卒業式の前に書いたものである。
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