梅原猛さんの残した言葉【哲学者】1925年3月20日~2019年1月12日
「仏教の精神は遺伝子の中に含まれています。それは、自己を生きながらえさせようとする自利の要素と、自分を犠牲にしても子孫を残そうとする利他の要素です。」
「煩悩を断つのは大変だ。でも、逆に煩悩を断ってしまうと、エネルギーがなくなってくる。煩悩はいい意味で利用することが大切。」
「私には、残念ながら日本の人文科学は、伝統的学問の甚だ忠実な伝承学にすぎなかったように思われる。日本的な研究者ムラ社会では、長い間信じられてきた通説を根本的に懐疑することが難しかった。日本の学界は、権威者が説こうが大ボスが語ろうが、間違っていれば間違っていると断言する根本的な懐疑の精神に欠けているようである。」
「日本は恥を失った社会ではないかと思う。国のためとは称するものの、実はもっぱら自己の権力欲や金銭欲のために行動し、法にさえ触れなければ潔白だとして恥じることのない有力政治家がいる。また原子力の安全確保に関する組織の責任者でありながら、国家、国民のことを考えず、もっぱら電力会社の意向に従って行動し、しかもまったく責任をとらずに恥じることのない著名な学者もいる。そしてまた、作品を売ることすなわち金を稼ぐことばかりに奔走し、自己の芸術観の安易さを反省しない大画家などもいた。恥を忘れることによって、日本は自律的な道徳心を失った国家になったのではなかろうか。この忘れものを取り戻すことは容易ではない。しかしそれを取り戻さないかぎり、日本は亡国への道を進まざるを得ないと私は思う。」
「哲学とはやはり、自己の頭で、人生とは何か、世界とは何かを考え、それを体系化することである。」
「戦後の日本の哲学者の多くは、自己の哲学を樹立しようという心は抱かず、西洋哲学者の哲学をもっぱら研究した。それは哲学研究者、あるいは哲学史家ではあっても、ソクラテス的意味のひたすら真理を求める哲学者とはいえない。」
日本の哲学者である。ものつくり大学総長、京都市立芸術大学名誉教授、国際日本文化研究センター名誉教授。東日本大震災復興構想会議特別顧問。碧南市哲学たいけん村無我苑名誉村長。また、京都市名誉市民でもある。 京都大学文学部哲学科卒業。
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