河上和雄さんの残した言葉【法学者】1933年4月26日~2015年2月7日

「34年間、検事として刑事事件の捜査に携わってきた弊害なのかもしれないけど、どうしても人間というものに対して性善説はとれない。大多数の人間は、後天的な教育によって、かろうじて踏みとどまっているんじゃないですか。言いかえると、誰でも育つ環境、この環境というのは家庭と学校、それに近隣社会の3つなんですけどね。この環境次第で犯罪者にもなるし、立派な人間にもなれると。」


「34年間、検事として刑事事件の捜査に携わってきた弊害なのかもしれないけど、どうしても人間というものに対して性善説はとれない。大多数の人間は、後天的な教育によって、かろうじて踏みとどまっているんじゃないですか。言いかえると、誰でも育つ環境、この環境というのは家庭と学校、それに近隣社会の3つなんですけどね。この環境次第で犯罪者にもなるし、立派な人間にもなれると。」


「私の場合、東京地検の特捜部長、最高検察庁公判部長と、世渡りベタなわりには、結構、陽の当たるところを歩いてきていてね。あとは検事総長になるか、最局裁の判事になるしかないって、人生の先行きが見えてきたわけですよ。はたして、この仕事だけで一生を終えていいのか?『つまらないな』と。最局裁の判事なんて、あんな退屈でつまんない商売はないしね。検事総長もたかが知れているというか、過去に何人ものトップを見てきたけど、本当に尊敬できる人っていうのはせいぜい2人ですよ。あとは、どうしようもないヤツばっかりで……。もちろん、形の上では仕事をちゃんとやってますよ。だけど、精神的にはなんの魅力もない、そんなつまらない人生は歩みたくないですから。」


「テレビの出演に関しても、胡散臭そうな番組には出ないと決めています。だいたいタレントと一緒になってワイワイキャーキャーやるような番組って、面白いんですよ。タレントとも、ある程度知り合いにもなれるだろうしね。でも、そういうことをしてしまったら、これまで過ごしてきた自分の人生を汚すことになるので、やめようと。」


「自分のことを弱い人間だとわかっていればいいというか、弱ければ『こういうことはしない』とか『人に背中を見せない』とか『人をうらやむことはしない』と自分の縛りを作っていけばいいんですよ。そうやっていくうちに気がついたころには、自分なりの生き方っていうのが見えてきますから。」


「検事を34年やって思ったのは実際、人間という生き物は何千年も進歩していないということ。生活することに関しては便利になったかもしれない。でも、精神生活はどうですか? 全然進歩してないでしょう。いや、むしろ退化しているんじゃないかと思います。とくに日本なんかは、戦後、文字通り経済一辺倒で、カネがあるかないか、儲かるかどうかが、すべての価値基準だったわけで。」


「34年間勤めた検察庁を辞めるときも、辞表を出す前から周りには『オレ、やめるよ』って。そうやって宣言しないと、本来考えていたことと違う方向に行ってしまいがちな弱い自分を知っているだけに、あとには退けない状態に自分を追い込むわけです。」


「犯罪の本質なんて、そう変わるもんじゃないですよ。性悪説というか、人間というのはもともとが悪いんですから(笑)。」


「『最初にきたから』と判断すれば、面倒臭くなくていいんですよ。『どっちがいいだろう』なんて、いちいち悩むよりはスッキリしていてわかりやすいから。」


「人間なんて、自分でできることしかできないんだから。できることをやりながら、『ああ、オレってこういうことが好きだったんだな』とか『こんな面もあったのか』って、ひとつずつ見つけていけばいい。」


「悩むよりは割り切ったほうが本当は生きやすい。まずは『オレはこうするんだ』とか『嫌なことはしない』とかって自分なりの尺度を作ってみるといい。まずは決め事を作る。」


「いま不安定な時代ですが、こういう時代こそ『自分が正しい』と思う方を選べばいい。人に言われて何かを決めたとしても、後悔は自分に返ってくるだけなんですから。」


「『他人の芝生は青く見えるんだ』って、割り切ってしまえば楽になりますよ。その青い芝生を持っている人だって、実はほかの人の芝生を美しいと思っているんですから。」


「世の中って、あまり難しく考えないほうがいいですよ。決して複雑なもんじゃない。」


「人間はお金が絡むと本当に汚い動物になる。お金は人を良い方にも悪い方にも簡単に変える。」


「公言して、自分で自分を規制したほうがいい。私自身、決して強い人間じゃないですから、公言することで自分を縛るわけですよ。」


「受験勉強なんていうのは、いかに集中してやれるかどうかで決まる。人間の頭って、そんなに変わるはずはないので。」


「私は『嫌なものはイヤ、好きなものはスキ』という判断で生きてきた。」


「自分のことって、わかりそうでわかんないもんです。」


日本の検察官・弁護士・法学者。 東京地検特捜部長、法務省矯正局長などを歴任し、最高検公判部長を最後に退官し、弁護士となった。駿河台大学名誉教授。

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