船戸与一さんの残した言葉【小説家】1944年2月8日~2015年4月22日

「『やりたいことをせよ、好きなことを仕事にしろ』と主体的な生き方を強制される。これは、今の若い世代の不幸だと思う。やりたいことがわからない人に、好きなことをしろというのは非常に酷。だから言いたいのは、そうじゃない生き方もあっていい、ということです。主体的に生きてもいいけれど、何も考えずに世間が命じるままに生きてもいい。向いている仕事なんて、実はない。そんなもの、自分ではわからないんです。私だって今でも向いてないと思ってるんだから。それよりも目の前のことに誠実になることです。そこから始めたらいいんです。」


「本気のものは人を惹きつける。これは小説に限らずだと思う。」


「もし若いときに旅をしなかったら、くたばる前にどんな思い出話をするのか。もっと人生を楽しむことを考えたほうがいい。」


「今の若い人は、大学生でも老後の心配をしているという。これは本当にかわいそうだし、不幸なことだと思う。将来に確たるものなんか何もないことはみんなわかっているはずでしょう。心配してもしょうがないのに、どうして老後の心配などするのか。とにかく安全に、安心に、と考えてしまうことのほうが、むしろ心配です。」


日本の小説家。本名:原田 建司。

小学館、祥伝社などの出版社勤務を経てフリーになり、執筆活動を始める。1979年『非合法員』(講談社)で冒険小説家としてデビュー。

他に豊浦 志朗の筆名で『叛アメリカ史』などのルポルタージュ、外浦 吾朗の筆名で『ゴルゴ13』、『メロス』の劇画原作も著している。

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