辰巳渚さんの残した言葉【文筆家】1965年11月27日~2018年6月26日
「ただモノを買って捨てる、大量消費型の生活ばかりでは味気ないと思うんです。買うことを楽しみつつ、車や洋服など長く大切に修繕しながら所有することが、その人にとっては豊かに暮らすために必要なことかもしれません。捨てられない自分を否定せず『かわいい』と思ってあげる。そんな気持ちで『捨てる』に取り組んでみてはいかがでしょうか。」
「仕事に限らず、何かを整理する場面では、必ず『捨てるかどうか』が問われます。けれども、『要るか要らないか』の判断は、これまでの人生で築き上げた価値観などが反映されるので正解がない。だから、皆さん迷うわけです。もちろん、捨てる手法の本を書いている私だって迷います。それだけ難しいのです。」
片づける前に知っておきたい基本の心得3か条
- 「片づけることに、こだわりすぎない」。きれいに片付いている状態が重要なわけではなく、仕事や暮らしがスムーズに回っているかが重要。
- 「モノを使いこなす」。暮らしはモノが使われながら回る。モノを使うことを意識して片づけよう。
- 「過去を引きずらない」。やってきたことを大事にする積み上げ式の意識が強い人ほど、捨てられない人になる。
「『これまでにやってきたこと』を大事にしすぎる人は、モノが捨てられない傾向があります。定年退職後でも自宅の書斎に仕事の本が山積みになっている人のように、『過去に得たモノ』を捨てられないのです。モノでもスキルでも、ピラミッドを作るかのように『積み上げ式』で考えると、『捨てる(一部を抜き取る)』ことが怖くなります。基本的に世の中は常に動いていて、自分も常に変化・成長していると考える。『過去』を引きずらないようにすれば、潔く捨てられるようになります。」
「相手がやり方を変えないのは、長年そうしてきて、自然とやってしまうから。そのやり方を矯正しようとすると、相手はストレスがたまり、仕事や人間関係で問題が出てくることもある。『できないから仕方がない』と諦めた方がイライラしなくて済みます。」
「『きちんと使っているモノ』であれば、多少散らかっていても構わない。モノは使ってこそ活きる。キレイに片づけることよりも、『モノをうまく使いこなしている感覚』を得られた方が、気持ちよく仕事ができるのではないでしょうか。」
「『片づけ』に対して、過剰に意識したり、こだわったりすると、ストレスが増えて不自由になる。モノを『捨てること』ではなく、モノと『向き合うこと』に目を向けてほしい。モノを『不要』だと思えば捨てればいいし、『必要』だと思ったら取っておけばいい。」
「捨てる技術のすべてをマスターする必要はありませんし、実際にすべてやるのは難しい。『できる範囲でやってみよう』と気軽に取り組む方がうまくいく。」
「『きれいに片づいていること』がゴールではありません。重要なのは『思い通りに仕事がこなせているかどうか』。極端な話、仕事で成果が出ているなら、片づける必要はありません。」
捨てるための考え方10か条
- 「とりあえずとっておく」は禁句。
- 「仮に」は駄目、「今」決める。
- 「いつか」なんて来ない。
- 他人の「とっても便利」は、私の「邪魔」。
- 「聖域」をつくらない。
- 持っているモノはどんどん使う。
- 収納法・整理法で解決しようとしない。
- 「これは捨てられるのでは」と考えてみる。
- 「しまった!」を恐れない。
- 完璧を目指さない。
日本の文筆家、考現学者。福井県出身。ベストセラー「『捨てる!』技術」などの著書で知られる。本名加藤木綿子。
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