フィル・ウッズさんの残した言葉【ジャズアルトの巨星】1931年11月2日~2015年9月29日

「人生とは好奇心を持って探求していくことだろう。 答えは見つからないとしても、見続けることだ。」


「日本のファンはとても熱心に聴いてくれるし、何よりもジャズに対しての知識が半端じゃない。日本中がジャズの評論家か、とさえ思うほどなんだよ。僕たちが自分たちでも思うほどに良い演奏ができた時には実に熱狂的に拍手をくれるし、逆に今日はイマイチだなと思った際には、拍手が薄かったりする。そういう意味では怖い聴衆でもあるんだけどね。そんな時でさえ、僕たちの体調を気遣うような言葉を掛けてくれたりもするんだ。そんなファンは世界のどこを探してもいないよ。」


「ビリー・ジョエルの名曲『素顔のままで』のプロデューサーだったフィル・ラモーンとは、ジュリアード時代からの友だちなんだ。彼がレコード業界に入ってエンジニアからプロデューサーになって、色々なアーティストと仕事をするようになり、何回か僕のことを呼んでくれてね。そのうちの一つが、あのビリーの曲だというわけさ。」


「私はいつも心を表現したいと思っている。そう、サックスを吹いていないときだって、常に思考することが大事だ。学生のころはいつも頭の中で練習していたよ。頭の中でいつも歌を歌っていたし、コードを覚えた。寝る前にも頭でエチュードの練習をしていたな。一日の終わりにその日の内容を復習して、次の日の朝ちゃんと頭の中に残っていて、そこからまた始められるようにね。」


「あるクラブでアルバイトをしていた時、チャーリー・パーカーが近くで演奏していると聞いて駆けつけた。彼は低音を気持ちよく演奏していないように見えたので、私のアルトを使ってみますか?と聞いてみたんだ。それは助かる、と言って彼は私のアルトを吹き始めた。それはもうすばらしく吹くのさ!この瞬間、私の楽器に悪いところはない、何が正しいか気づかされた。」


「自分の体の幹、中心を感じてそこからエネルギーを出さなければいけない。体を大きく動かすのは要注意だね。指使いもそうだ。『常にパール(貝)を感じろ』そう私は習った。うまい人になればなるほど全く動いていないように演奏するだろう?ピアノや他の楽器でもそうだ。指がキィに近ければ、それだけすばやく動けるから最低限のエネルギーで済む。気と心、考えることに集中して、そこにエネルギーを使うんだ。」


「それには特にロングトーンの音色を練習することだ。たった一つの音で人の心に触れ、感動を与えることができるんだよ。速いパッセージや短い音を演奏するのは練習すればだれにもできることだが、シンプルな音をはっきりときれいに演奏し、人を感動させるのはとても難しい。特に年をとると、とてもエネルギーを必要とする。私はメロディをできるだけきれいに演奏することを愛しているんだ。」


「うまくなるためには、『練習すること』としか言えないな。やはり近道はないね。『10%の才能と90%の努力』というように、小さな種でも大きくきれいな木に育つように、自分に授かった才能を育てるのは自分なわけだ。」


「ジャズは言葉に置き換えることが難しいほどの深い意味合いをもっているし、とても強い力をもっているんだ。人の心に触れることの大事さを満たしていると思う。その人の音楽にハートがあり、知的で真摯な心であれば、国や言語に関係なく誰にでも届くものだよ」


アメリカ合衆国のジャズミュージシャン。
マンハッタン音楽学校やジュリアード音楽院で学びながらジャズピアニストであり作曲家であるレニー・トリスターノに大きな影響を受けた。卒業後すぐにビバップのサクソフォーン奏者として認められ、キャノンボール・アダレイやソニー・スティットと同様に偉大な先達チャーリー・パーカーの後継者と目された。

1968年渡仏、ヨーロピアン・リズム・マシーンを結成し録音を残した。1972年には再びアメリカに活動の場を移した。

ジャズではないが、彼を有名にしたポップ・ミュージックの録音としてビリー・ジョエルの「素顔のままで(Just the Way You Are)」でのアルトサクソフォーン・ソロがあげられる。その他スティーリー・ダン、ポール・サイモンとも共演している。

ウッズは自身の録音で7回グラミー賞にノミネートされ、4回グラミー賞を受賞した。

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