中村紘子さんの残した言葉【ピアニスト】1944年7月25日~2016年7月26日

「ピアニストはバレリーナや体操選手と同じで筋肉労働者でもあるんです。一日何時間練習しますかとよく聞かれますが、一日休むと一日衰えてしまう。筋肉だけではありません。耳も感受性も一緒に退化するんです。」


「最終的に一番評価が高いのは、個性、つまり『言いたいこと』を持っている人。」


「褒められると、眠っていた未知の能力さえもがうれしさの余り目覚めて、更に良い結果を生みだす。人の能力というものは、褒められることを栄養分として育っていくところが確実にあるのだ。」


「努力は、私を裏切らない。」


「いくらあなたがいい演奏をできるとしても、いきなりヨーロッパへ行って大成功するかといったら、まずしない。結局、コミュニケーションもろくに取れないような全く違う人種がやってきて、多少演奏が上手くてもそこで突然道が開けるようなことはなくて、やはり人と人との繋がりで色んなチャンスというのは増えていくのだから、そこを勘違いしたら駄目です。」


「ピアノが上手い、ヴァイオリンが上手いという人は山ほどいます。問題は聴き手に何を分かって欲しいか、何を伝えたいかなんです。」


「人並み外れた献身というか、そこに注ぎ込むエネルギーが尋常ならざるほどの量でなければ、そう簡単には人を感動させられないと思います。」


「人間って年を取れば年をとるほど、そう単純に感動なんかしてくれないんですよね。」


「みんな達者に弾くのだけど極限まで突き詰めるみたいなことはアホくさくてしないですし、そういう精神の極致のような昴まりを生活の中で必要としない。だから、お父さんお母さんにかわいがられて美味しいものを食べてガールフレンドがいて・・・みたいなことで満足してしまう。」


「ピアノはハングリーじゃないとダメなんです。ボクシングと同じです。」


「人間はこの現実社会で満たされない夢を何かに託すことがエネルギーになるんですよね。」


「クラシック音楽に対して日本が国をあげて音楽イベントやることが良いか悪いかは別にして、経済効果というものをもう少し考えるべきだと思いますね。」


「ピアノはレッスンや試験といったことと関係なく弾いているときは本当に楽しいんです。でも、こんなに楽しいものが当時子供だった私にとっての社会と結びつくとどうしてこんなにつまらない、辛いものになるんだろうと。それが不思議でした。」


日本のピアニスト。旧姓名:野村紘子。本名:福田紘子。1965年のショパン国際ピアノコンクールで、日本人として、田中希代子の1955年初入賞以来、10年ぶり2人目の入賞者として広く知られている。 夫は小説家の庄司薫。

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