レイモンド・チャンドラーさんの残した言葉【ハードボイルド】1888年7月23日~1959年3月26日

「If I wasn’t hard, I wouldn’t be alive. If I couldn’t ever be gentle, I wouldn’t deserve to be alive.」

(タフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない。)


「Alcohol is like love. The first kiss is magic, the second is intimate, the third is routine. After that you take the girl’s clothes off.」

(アルコールは恋に似ている。最初のキスは魔法のようだ。二度目で心を通わせる。そして三度目は決まりごとになる。あとはただ相手の服を脱がせるだけだ。)


「There is no bad whiskey. There are only some whiskeys that aren’t as good as others.」

(悪いウイスキーというものは存在しない。ただ他のウイスキーよりも味の劣るウイスキーがあるだけだ。)


「Use your pride on that.」

(飲むのなら自尊心を忘れないようにして飲みたまえ。)


「All men are the same. So are all women – after the first nine.」

(男はみんな同じね。女だってそうさ – 最初の九人の後はね。)


「A really good detective never gets married.」

(本当に優れた探偵は、決して結婚しない。)


「I suppose it’s a bit too early for a gimlet.」

(ギムレットには早すぎる。)


「The moment a man begins to talk about technique that’s proof that he is fresh out of ideas.」

(ある人が技術について話し始める時、それは彼のアイディアが枯渇したことの証明でもあるんだ。)


「Chess is as elaborate a waste of human intelligence as you can find outside an advertising agency.」

(チェスと広告業は、いずれも同じくらい手の込んだ、人間の知性の無駄遣いだ。)


「The law isn’t justice. It’s a very imperfect mechanism. If you press exactly the right buttons and are also lucky, justice may show up in the answer. A mechanism is all the law was ever intended to be.」

(法律は正義ではない。法律はきわめて不完全なシステムである。あなたがいくつかの正しいボタンを押し、そして運が良ければ、正義が正しい答えとして現れるかもしれない。法律というものが本来目指しているのは、メカニズム以上の何ものでもないんだ。)


「The more you reason the less you create.」

(論理的になればなるほど、創造性は失われる。)


「To say Good bye is to die a little.」

(さよならをいうのは、少し死ぬことだ。)


「There is no trap so deadly as the trap you set for yourself.」

(自分で自分に仕掛ける罠ほどたちの悪い罠はない。)


「A good story cannot be devised; it has to be distilled.」

(良き物語はひねり出すものではない。蒸留により生み出されるものだ。)


「It is not a fragrant world.」

(それはいい香りのする世界ではないんだよ。)


「What did it matter where you lay once you were dead? In a dirty sump or in a marble tower on top of a high hill? You were dead, you were sleeping the big sleep.」

(死んだあと、どこへ埋められようと、本人の知ったことではない。きたない溜桶の中だろうと、高い丘の上の大理石の塔の中だろうと、当人は気づかない。君は死んでしまった。大いなる眠りをむさぼっているのだ。)


「Throw up into your typewriter every morning. Clean up every noon.」

(朝はタイプライターに吐き出し、昼はそれを掃除せよ。)


「I certainly admire people who do things.」

(わたしは行動する人間を疑いなく称賛する。)


「From 30 feet away she looked like a lot of class. From 10 feet away she looked like something made up to be seen from 30 feet away.」

(30フィート離れたところからはなかなかの女に見えた。10フィート離れたところでは、30フィート離れて見るべき女だった。)


「女にとって、善良な女にとってさえも、自分の肉体の誘惑に抵抗できる男がいると悟ることは、とても辛いことだ。」


「女だって人間なんだ。汗もかくし、醜くもなるし、便所へも行かなければならないんだ。いったい、君は何を期待してるんだ。ばら色の霧の中に飛んでいる金色の蝶々か。」


「The first quiet drink of the evening in a quiet bar – that’s wonderful.」

(静かなバーでの最初の静かな一杯 – こんなすばらしい一杯はない。)


「My kind of pride is different. It’s the pride of a man who has nothing else.」

(ぼくのいう自尊心はちがうんだ。ほかに何も持っていない人間の自尊心なんだ。)


「Take my tip – don’t shoot it at people, unless you get to be a better shot.」

(撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ。)


「There are two kinds of truth: the truth that lights the way and the truth that warms the heart. The first of these is science, and the second is art. Without art, science would be as useless as a pair of high forceps in the hands of a plumber. Without science, art would become a crude mess of folklore and emotional quackery.」

(真実には2種類ある。一つは道を照らしだすもの。もう一つは心を温めるもの。前者は科学、後者は芸術だ。芸術なき科学は、配管屋に手術用の鉗子を持たせるかのごとく使い道のないものである。科学なき芸術は、民俗と感情的ペテンの粗野な混乱だ。)


「この部屋の酸素を無駄にしたくない。帰れよ。」


「あんたは僕の仕事が気に食わない。僕を信用しなかった。だからって、あんたを嫌な人間だと考えるのは間違ってる。」


「Without magic, there is no art. Without art, there is no idealism. Without idealism, there is no integrity. Without integrity, there is nothing but production.」

(魔力なくしての芸術はない。芸術なくしての理想主義はない。理想主義なくしてのインテグリティはない。インテグリティがなければ、すべてはただの生産物である。)


アメリカ合衆国シカゴ生まれの、小説家で脚本家。 1932年、44歳のとき大恐慌の影響で石油会社での職を失い、推理小説を書き始めた。最初の短編「脅迫者は撃たない」は1933年「ブラック・マスク」という有名なパルプ・マガジンに掲載された。処女長編は1939年の『大いなる眠り』である。長編小説は7作品だけで、他は中、短編であるが、チャンドラーの長編はほとんど先に書いた中篇が元になっている。『プレイバック』以外の長編はいずれも映画化されている。死の直前にアメリカ探偵作家クラブ会長に選ばれた。1959年3月26日、カリフォルニア州ラホヤで死去。

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