特攻隊員の遺書 林市造大尉【母親へ】
一足さきに天国に参ります。 天国に入れてもらえますかしら。お母さん祈つて下さい。 お母さんが来られるところへ行かなくては、たまらないですから。 お母さん。さよなら。 一億の人を救ふはこの道と母をもおきて君は征きけり 母マツヘさんの手記 泰平の世なら市造は、嫁や子供があつて、おだやかな家庭の主人になつていたでしょう。 けれども、国をあげて戦つていたときに生まれ合わせたのが運命です。 日本に生まれた以上、 その母国が、危うくなつた時、腕をこまねいて、見ていることは、できません。 そのときは、 やはり出られる者が出て防がねばなりません。